興南6−5報徳学園 我如古4安打大暴れ、5点差大逆転

第92回全国高校野球選手権大会・準決勝

興南vs報徳学園

 

この年、興南高校は春の選抜で初優勝。絶対的エース島袋洋奨、主将の我如古らを筆頭に一気に頂点まで駆け上った。

そして迎えた夏の甲子園。選抜王者として目指したのはもちろん春夏連覇。2010年時点では過去に5校しか成し遂げていない偉業に挑戦した。

 

春の勢いそのままに、夏も準決勝まで進んだ興南。しかしベスト4の壁を崩すことは選抜王者としても難しいことだった。

相手は兵庫の強豪報徳学園。甲子園の常連だが、このときは報徳が挑戦者として興南に真っ向勝負。試合は初回から動いた。

 

興南の島袋、報徳の大西ともに好投手ということもあり、接戦になるのでは?と勝手に私自身思っていたが、そうはならなかった。序盤から報徳学園の打線が島袋の投球に対してよく振れており、初回は1得点、2回に4得点のビッグイニングを作り、興南に対して5点のリードを奪う展開に。

 

まさかの展開に驚いたのを覚えている。だが興南は全く慌てるそぶりは見せなかった。

 

0−5で迎えた5回。1死2、3塁で2番慶田城、3番我如古の連続タイムリーで3点を返す。さらに6回、島袋が自らのバットで1点を取り返し、4−5の一点差に。追い上げる興南の勢いに球場が何か異様な雰囲気に。

その雰囲気に応えるように7回、1死2塁から3番我如古の右中間を破る同点タイムリー3塁打。ついに試合を振り出しに戻した。

ここで報徳学園はエース大西に変え、この大会で鮮烈なデビューを果たした1年生の田村伊知郎をマウンドへ。1年生らしからぬマウンドさばきと浮き上がるような伸びのあるストレートが持ち味の田村であったが、興南の4番真栄平にセンター返しをくらい、逆転。興南が試合終盤についに試合をひっくりかえした。

島袋は序盤こそは打ち込まれたが、3回以降は連打を許さない投球を魅せた。8回には三者連続三振を奪うなど、合計で12奪三振で報徳打線を封じた。球数は全159球と多かったが、準決勝ではあるものの全く疲れを感じさせないピッチングがとても印象的だった。

 

島袋を助けたのは主将の我如古。この日は3塁打を含む5打数4安打。とにかく勝負強いバッターで、春の選抜では、試合をまたいで8連続安打を放ち、史上3人目の個人最多タイ記録を打ち立てた。その我如古が夏も大暴れ。同点となる7回の3塁打は本当にすごい一打だった。

 

次戦の決勝戦では、東海大相模に13−1と圧倒し、見事史上6校目となる春夏連覇を達成。同時に沖縄県勢の夏の甲子園初優勝という偉業も成し遂げた。

 

5点差のビハインドがありながらそれを感じさせない強力打線は今でも記憶に新しい。特に1番の国吉から始まる上位打線は恐ろしいものだった。この日は1番国吉が2安打、2番慶田城が2安打、3番我如古が4安打と、1、2、3番だけで8安打。ここまで打線が繋がると為す術がない。島袋の投球に打線が応えた名試合だった。


スポンサードリンク



Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です